南馬宿村壊滅の危機

恐ろしい事態がおきている。南馬宿村壊滅する危機にあるのだ。と言っても、何もなくても既に十分過ぎるほど壊滅の危機なのだが、更に退っ引きならない事態だと言えば、その恐ろしさが伝わるかと思う。

南馬宿村は農業が盛んな村であるが、山奥であるため害獣被害も多い。鹿にイノシシ、熊や猿とありとあらゆる動物と日々戦い続けなければならないのだが、屈強な南馬宿村青年団(平均年齢52歳)は、多大な被害を出しながらも備中鍬一本で熊を仕留めたり、素手でイノシシの牙をへし折ったりと善戦してい た。

しかし、青年団も恐れる村の「害獣四天王」が、同時期に動きを活発化させたのである。

体長2メートルに達するイボイノシシ「弁慶」、人食い熊と噂される「鬼夜叉」、齢400年とも言われる猿の「紅天狗」、体が石より硬い特異体質の鹿「石喰い」である。

以前、四天王にすら入れなかったアメリカバイソンが暴れた時ですら、村の農機具は8割が全損。青年団にも多数の重傷者をだしたほど。一体が暴れただけでも被害は計り知れないのに、それが四体同時である。いかに重大な事態である事がおわかりいただけるだろうか。

更に厳しいことに、常に害獣との戦いの先頭に立ってきたカリスマ農業指導者の重敏が、お下劣目的にアジア各国を旅行した際にコレラを患い、隔離病棟から出てこれないのである。リーダー不在に青年団の不安は募るばかり。

これはもはや戦争である。

ついに西の防衛線であった無人販売所が鬼夜叉襲撃によって陥落。まともに戦っては勝ち目がないと判断した青年団は、ゲリラ戦を展開。木の上から除草剤を投げたり、餌で誘き寄せて肥溜めに突き落としたりと遊撃部隊は犠牲者を出しながらも大きな戦果をあげた。

トラクターに小麦粉を積み込み、体当たりして着火。粉塵爆発を起こして四天王を追い詰める猛者もいたそうである。

そんな時、リーダーの重敏が村の危機を聞き、隔離病棟から抜け出して南馬宿村に駆けつけたのだ!これで「勝機あり」と青年団は集会を開き、重敏を囲んで作戦会議を行ったのだ。カリスマ重敏は素晴らしいリーダーシップを発揮し青年団は勝ちどきをあげた!

結果として重敏のおかげで四天王の驚異は去った。青年団全員がコレラで隔離病棟に閉じ込められている隙に、四天王はお腹一杯農作物を食べ、早めの冬眠に入ったからである。

怒り狂うコレラ患者の輪の中で焼けた鉄板の上で土下座するみじめな重敏の姿がインターネットの動画サイトに流出したのは、それから四日後の事であった。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。