シュールストレミングはちっとも臭くない!

研究所に勤務している私は、24時間つきっきりで研究をしなければならないため化学実験室生活を送っている。

私は最近困った問題に悩まされている。

幼馴染だった小林君の研究論文の誤りを指摘した所、毎日のように嫌がらせをしてくるようになったのだ。

ある日、小林君からお歳暮が届いた。

ニシンの塩漬けを発酵させたシュールストレミングと呼ばれる缶詰だった。

私は見たことも聞いたこともないこの缶詰、シュールストレミングが何なのか開封する前にインターネットで調べてみることにした。

どうやらこのシュールストレミングは強烈な悪臭を発するらしく、小林くんは研究論文の誤りを指摘したことに対する腹癒せにシュールストレミングを送り付けてきたのだろう。

しかし私は躊躇うこと無くダイニングテーブルの上にシュールストレミングを置いて開封した。

窓の外をこっそり見ると、サザンカの垣根の隙間から小林君が私がどんな反応をするのか監視していた。

小林君が監視をしている中、缶詰を開封すこことにした。

私はシュールストレミングの缶詰を手に持ち、ワインの香りを嗅ぐように香りの確認をした。

「あー、ちっとも臭くない!美味しそうだから食べちゃおう」

サザンカの垣根の隙間から見える小林君の目はまん丸になっていた。

私は化学実験室生活で毎日イソシアニドイソニトリル化合物)の研究をしている。

イソシアニドの悪臭に比べれば、シュールストレミングはちっとも臭くない。

イソシアニドの猛烈な悪臭は並の人間では耐えられないだろう。

私は小林君が隠れているサザンカの垣根にむかって、イソシアニド化合物と、少量のエタンチオールが入ったボールを投げた。

ボールはサザンカの枝に刺さって割れ、イソシアニドとエタンチオールの強烈な悪臭に悶え苦しむ小林君。

苦しんだのは小林君だけではなかった。

あまりにも強烈な悪臭だったので、近所の住人がパニックに陥ってしまったのだ。

警察や消防が押し寄せる事態にまで発展、こっぴどく叱られることになってしまった。

イソシアニドの悪臭を体験した者であれば、シュールストレミングはちっとも臭くない。

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