冷凍みかん殺人事件

私は、島袋を憎んでいた。私はカレースタンドを営んでいるのだが、飛びぬけて美味いわけではないのだが、食えないほど不味くもなく、また安い値段でお腹 いっぱい食べられる庶民の味のカレーを食べてもらおうと思って店を建てた。狙いは当たり、大繁盛とまではいかないがそれなりにお客は来てくれるし、近所の 高校生が部活帰りに来て賑やかに食べてくれるのを見るのがまた楽しみの一つでもあった。

そんなある日、島袋と名乗る客が私の店に来た。ぶつぶつ独り言をつぶやいていて、変わった客だなとは思ったがいつもどおり注文を聞いてカレーを出した。すると島袋は突然「オラなっどぐでぎねー!!」と叫び、カレーを逆噴射してしまったのだ。

店内は地獄絵図とかし、常連客は「二度とくるか!」と怒り狂い、またその悪評が悪評を呼び、あの店に入るとカレーをぶちまけられると口コミサイト にまで書かれてしまい、あっさり店はつぶれた。私のささやかな楽しみは全て奪われ、失業してしまったのだ。そんなわけで島袋を憎んでいる。

店を売り払ったお金で調査会社を雇い、島袋の居所を突き止めた私は殺人計画を立てた。密室殺人、完全犯罪なども考えたが、そんなものなかなかでき るものではない。綿密な計画ほど簡単なミスで露見してしまうものだ。通り魔的犯行に見せかけ、かつ凶器を隠滅してしまえば私に容疑がかかったとしても立証 できないはずだ、と考えた。

考えに考えた結果、私は冷凍みかんを凶器にすることを思いついた。カチカチに凍ったみかんで島袋の頭を殴打し、その後みかんを食べてしまえばよい。証拠は完全に無くなる。だが、そう簡単な話ではない。冷凍みかんが、島袋と会うまでに融けてしまう可能性があるのだ!

液体窒素を持ち歩き、犯行直前にみかんを凍らせる?いや、液体窒素を購入すればそこからあしがついてしまう。冷凍庫を背負って犯行現場に向かう? 目立ちすぎる。悩みに悩んだ私は、冷凍みかんを大量に風呂敷に包んで行くことにした。一個なら簡単に融けても、大量にあればとけ残るみかんもあるに違いな い。

島袋の自宅付近で待ち伏せしていると、人通りの無い路地を歩く島袋を発見した。絶好のチャンスである。私は風呂敷を広げ、大量のみかんの山から融 けていない、比較的硬いみかんを探した。どれもひんやりとはしているが、カチカチのみかんは見つからない。ほとんど融けてしまったのだ。一瞬焦ったが、中心にあったみかんは十分な硬さがあり、意を決してそれを掴み、島袋を見た。

するとどうだ、島袋は風呂敷からこぼれたみかんを美味しそうに食べているではないか!「うめ〜おらなっどぐでぎだ〜!!!」ひんやり冷えた三ケ日 みかんは、確かに最高の甘さである。その声を聞いて周辺の住民も集まってきて、「こんな美味いみかん初めてだべ!」「オラたちにもみかん売ってくれ!」と 大評判であった。

私は今、みかん店をオープンさせ、街の人気者になっている。美味しいみかんを売り、美味しいみかんを食べてお客が納得してくれるのを見るのが一番の楽しみだ。島袋には感謝している。今度島袋が納得してくれるカレー屋を探し、案内するつもりだ。

Follow me!

冷凍みかん殺人事件” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 同じこと考える人はいるね~。 より:

    冷凍みかん殺人(未遂)事件ってフレーズを考えた訳ですが。殺害方法は投げてぶつけるということが相違点でした。狂気と凶器が伝わってきます。食べ物で遊んではいけません、ましてや投げてはいけません。というオチにしたかった。。。有難うございましたm(_ _)m

    1. 都会汁 より:

      北国では冷凍みかんによる殺人が多発していると聞いたことがあります。

      しかし証拠に残りませんので、自殺だの死因不明だので片付けられているのでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。